脊柱側弯症とは?原因・種類・症状・検査・治療を専門家がわかりやすく解説【所沢】

ポイント

脊柱側弯症は、背骨が左右に「S字」や「C字」に曲がってしまう病気です。
見た目の変化だけでなく、痛みや呼吸機能の低下、まれに神経症状の原因になることもあります。
早期発見であれば経過観察や装具療法で進行を抑えられることも多く、重症例では手術も選択肢になります。

目次

1. 脊柱側弯症とは?

脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)は、背骨(脊柱)が左右方向に弯曲してしまう状態をいいます。
背骨は、首の頚椎7個、胸の胸椎12個、腰の腰椎5個、そしてその下の仙椎・尾椎が積み重なってできています。正常な背骨は、横から見るとS字カーブを描きますが、上から見たときにはほぼまっすぐです。

しかし側弯症になると、背骨が横方向に傾き、「S字」または「C字」の形に曲がります。その結果、

  • 肩の高さが左右で違う
  • ウエストラインの左右差
  • 背中の片側だけが盛り上がる
  • 骨盤の高さの違い

などの見た目の変化が出るほか、背中や腰の痛み、進行例では呼吸機能への影響が出ることもあります。

ちなみに側弯は胸椎が右凸に曲がることが多いんだ。

これは心臓が左にあることが関係していると言われているよ。

人体って不思議だよね。

2. 側弯症の種類

側弯症にはいくつかのタイプがあり、原因や進行の仕方が異なります。

2-1. 機能性側弯

機能性側弯は、背骨自体にねじれや変形があるわけではなく

– 姿勢のくせ
– 足の長さの左右差
– 椎間板ヘルニアなどによる痛みから体をかばう姿勢
– スポーツによる左右非対称な動き

などが原因で一時的に背骨が曲がっている状態です。
原因を取り除くことで、背骨の弯曲が元に戻ることが多いのが特徴です。

クラシックバレエ経験のある女子は、経験のない女子に比べて側弯症の発生率が高いという報告もあり、左右非対称の動作や極端な柔軟性が影響している可能性が指摘されています。また、痩せ型の女子に側弯が多いことも知られていますが、詳しい理由はまだ研究途中です。

自分の生活スタイルを見返してみるといいかもね。

カバンの持ち方一つでも、変わってくるよ。普段から片側ばかりに物を持つ癖がある人とか、足を組む癖がある人は反対側で持つ、足を組み替えるなどして予防を図ろうね。

2-2. 構築性側弯

構築性側弯は、背骨のねじれ(回旋)や椎骨自体の変形を伴い、自然にはまっすぐに戻らないタイプです。


関与する要因には、

  • 筋力の不均衡
  • 脚長差(足の長さの左右差)
  • 慢性的な疼痛による姿勢変化

などがありますが、いったん構築性になった側弯は単純な姿勢矯正では戻りにくいことが多く、専門的な身体評価とフォローが重要です。

1つ目の機能性側弯も放置していると、構築性側弯に移行するおそれもあるよ。普段から気をつけようね。


3. 側弯症の主な原因・背景疾患

側弯症の原因は1つではなく、いくつかのグループに分類されます。

3-1. 特発性側弯症

特発性(とくはつせい)側弯症は、「はっきりした原因がわからない」タイプで、
全側弯症の約80〜85%を占める最も多いタイプです。
特徴としては、

  • 成長とともに進行しやすい
  • 女児に多い(思春期では男児の5〜8倍)
  • 骨の成長が止まる頃に進行も落ち着くことが多い

などが挙げられます。

発症年齢により、

  1. 乳幼児期側弯症(3歳以前)
    • 男児に多く、自然に改善する場合と、強く進行する場合に分かれます。
  2. 学童期側弯症(4〜9歳)
    • その後の成長とともに進行しやすい傾向があります。
  3. 思春期側弯症(10歳以降)
    • 最も頻度が高く、特に女児に多くみられます。

3-2. 先天性側弯症

先天性側弯症は、背骨の一部に生まれつきの形成異常があるタイプです。
椎骨が「くさび形」になっていたり、一部の椎骨が癒合していたりすると、成長とともに左右差が生じて側弯が進行します。

  • 早くから急速に進行するタイプ
  • 一定の角度で進行が止まるタイプ

があり、特に複数の椎骨に異常がある場合は進行が速いとされています。一部では特定の遺伝子異常が関与していることもわかっています。

3-3. 神経・筋原性側弯症

神経・筋原性側弯症は、

– 筋ジストロフィーなどの筋疾患
– 脳性麻痺
– 脊髄性疾患

などで、筋力低下や麻痺が起こり、体を支える力が弱くなることで背骨が曲がってしまうタイプです。
このタイプは進行が速いことが多く、成長が止まった後も進行する場合があるため、慎重なフォローが必要です。

3-4. 神経線維腫症による側弯症

神経線維腫症(フォン・レックリングハウゼン病)に伴う側弯症では、

– 皮膚のカフェオレ斑
– 皮膚腫瘍

などが合併し、背骨の局所的で急速な変形をきたすことがあります。
脊柱の変形部で脊髄が圧迫され、脊髄麻痺を起こすこともあるため、特に注意が必要です。

3-5. 間葉系疾患による側弯症・その他

  • マルファン症候群(← 注意)
  • エーラス・ダンロス症候群

など、結合組織の病気に伴う側弯症もあります。

マルファン症候群では、側弯が急速に進行することがあり、心臓や大動脈の病気を合併することも多いため、全身管理が重要です。

その他にも、小児期の病気・外傷・放射線治療後・火傷後の瘢痕・代謝疾患など、様々な背景から側弯症が起こりえます。

4. 脊柱側弯症の症状

側弯症の症状は弯曲の程度や原因、年齢によって変わりますが、代表的には次のようなものがあります。

  1. 外見上の変化
    – 肩の高さの左右差
    – ウエストラインの左右差
    – 肋骨が片側だけ突出して見える
    – 背中・腰の片側の盛り上がり
    – 乳房の左右差 など
  2. 心理的ストレス
    特に思春期では、見た目の変化がコンプレックスや不安の原因となり、心理的ストレスにつながることがあります。
  3. 痛み
    背中や腰の痛み、筋肉の張り感を訴える方もいます。ただし、軽度の側弯では痛みがほとんどない場合も少なくありません。
  4. 呼吸症状
    側弯が高度になると胸郭が変形し、肺活量の低下や息切れを感じやすくなることがあります。
  5. 神経症状
    局所的に強い弯曲がある場合や、神経線維腫症・先天性側弯症などでは、脊髄が圧迫されてしびれ・筋力低下・歩きにくさといった神経症状が出ることがあります。

5. 脊柱側弯症の診察・検査

5-1. 視診・触診(立位検査・前屈検査)

まずは、立った状態や前屈した状態で体の左右差をチェックします。

  • 立位検査:肩や肩甲骨の高さ、ウエストライン、骨盤の傾きなどを後ろから観察します。
  • 前屈検査(アダムステスト):両手を前に垂らして前屈したときに、背中や肋骨・腰部の左右差、盛り上がりがないかを確認します。

これらはご家族でも気づきやすいポイントで、
– 入浴時に背中を見たとき
– 新しい服を試着したときに左右で丈が合わない
– スカートやズボンの裾の長さが左右で違う

といった場面で気づかれることも多いです。

5-2. レントゲン検査

側弯症の診断と重症度評価にはレントゲン検査が必須です。
背骨全体を写した立位のX線画像で、最も傾いている椎骨同士の角度(コブ角:Cobb angle)を測定します。

  • 10度以上:側弯症と診断
  • 20〜25度以下:軽度で経過観察が中心
  • 25〜40度前後:装具療法の検討
  • 40〜50度以上:手術療法の検討

となることが一般的です(年齢や骨成熟度によって変わります)。

レントゲンを撮れば一番わかるから、不安な人は一度とってみるといいかもね!

6. 脊柱側弯症の治療

治療方針は、側弯の角度・年齢・骨の成熟度・原因疾患などを総合的に判断して決定します。

6-1. 経過観察

成長期でコブ角が20〜25度以下の比較的軽度な側弯では、
3〜6か月ごとの診察・レントゲンで進行していないか確認することが大切です。

特に 成長スパートの時期(身長がぐんと伸びる時期)は進行しやすいため、注意深いフォローが必要です。

6-2. 装具療法

25〜40度前後の軽度〜中等度の側弯では、装具療法(コルセットなど)が選択されることがあります。

  • 目的は「進行を防ぐこと」
  • 完全にまっすぐに戻すというより、これ以上悪化しないようにする治療です。
  • 成長が終わるまで継続し、骨成熟が終了した時点で装具を外していきます。

骨成熟終了時の側弯角が30〜35度以下であれば、その後大きな問題になりにくいとされますが、35度以上では加齢とともに進行し、将来的に手術が必要になる場合もあります。

6-3. 手術療法

弯曲が高度(40〜50度以上)で進行傾向がある場合や、
– 見た目の変形
– 背部痛・腰痛
– 呼吸機能の低下
– 神経症状

などの問題が大きい場合には、手術療法が検討されます。

代表的な方法は、弯曲した椎骨を金属のロッドやスクリューで固定し、背骨のアライメントを矯正する手術です。
背中側から行う方法、体の横から行う方法、またはその併用など、年齢・変形のタイプ・角度・合併症などによって選択されます。

手術には、神経症状・感染・呼吸器合併症などさまざまなリスクがありますが、現在は術中に脊髄機能をモニタリングしながら安全性を高める工夫がされています。


術後は、

– 1週間前後で歩行開始
– 2〜3週前後で退院
– 学校復帰も比較的早期に可能

となるケースが多くなっています。


7. リハビリテーションと日常生活の工夫

側弯症そのものを運動だけで完全に治すことは難しいですが、

  • 体幹・背筋・腹筋の強化
  • 姿勢の改善
  • 柔軟性の維持

は、痛みの軽減・姿勢の安定・疲れにくさの改善に役立ちます。

理学療法士によるリハビリでは、

  • 呼吸を意識したエクササイズ
  • 左右差を考慮したストレッチ・筋トレ
  • 学校生活・部活・日常動作での注意点

などを、その人の側弯のタイプや生活スタイルに合わせて提案していきます。

当院では、特に側弯、腰痛治療に対して、業界でもトップの方がいるよ。

不安があれば『おやま整形外科クリニック所沢院』を一度受診してみてね。


8. いつ整形外科を受診すべき?

次のような場合は、一度整形外科での評価をおすすめします。

  • 家族が見て肩や背中の高さに左右差がある
  • 学校検診やかかりつけ医で側弯を指摘された
  • 思春期の成長期で、短期間に背中のゆがみが目立ってきた
  • 背中や腰の痛みが続く
  • 息切れや疲れやすさが気になる
  • しびれや筋力低下など、神経症状がある

早期に見つけておけば、経過観察や装具療法で進行を抑えられる可能性が高くなります。


9. まとめ(所沢周辺でお困りの方へのご相談)

  • 脊柱側弯症は、軽度から重度まで幅広い範囲を持つ病気です。
  • 成長期に発症することが多く、早期発見・早期介入が将来の姿勢や生活の質を大きく左右します。
  • 経過観察・装具療法・手術・リハビリテーションなど、多様な選択肢の中から年齢や側弯のタイプに合わせた治療を選ぶことが大切です。

所沢市周辺でお子さまの背中のゆがみが気になる方、学校検診で側弯を指摘された方、ご自身の姿勢や腰痛が不安な方は、ぜひ一度ご相談ください。


医療機関情報(ご相談はこちら)

おやま整形外科クリニック所沢院
〒359-0037 埼玉県所沢市くすのき台1-12-10 第3西村ビル1階
TEL:04-2995-3863/FAX:04-2995-3860
診療時間:9:00-12:30 / 15:00-18:30(受付 8:45-12:00 / 14:45-18:00)
公式サイト:https://tokorozawa-seikei.gassankai.com

所沢周辺で脊柱側弯症や姿勢のゆがみ、背中・腰の痛みが気になる方は、
ドクターと理学療法士によるチーム医療でサポートいたします。お気軽にご来院、ご相談ください。

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