肘部管症候群とは?原因・症状・検査・治療・リハビリ・予防まで徹底解説【所沢】

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)とは?原因・症状・検査・治療・リハビリ・予防まで徹底解説【所沢】

この記事の要約!

・肘の内側を走る尺骨神経が「肘部管」というトンネルで圧迫/牽引されることで、薬指・小指のしびれや握力低下が出ます。
・長時間の肘屈曲・肘をつく癖・反復動作・外傷後の変形・ガングリオンなどが誘因。夜間増悪細かな指の不器用さも特徴です。
・治療は生活/姿勢の見直し+装具(ナイトスプリント)+神経滑走+リハが基本。重症例は減圧術/前方移行術など手術を検討します。


目次

1. 肘部管症候群の基礎知識

肘部管症候群とは、腕の内側を通って手の方へ伸びている「尺骨神経(しゃっこつしんけい)」が、肘の内側にある細い通り道(肘部管)で圧迫されたり、引っ張られたりすることで起こる神経のトラブルです。この通り道は骨や靱帯、筋肉に囲まれているため、神経が刺激を受けやすい場所です。

日常生活の中でも、

  • 肘を机の角に長時間ついている
  • スマートフォンを使うときに肘を曲げたままにしている
  • 寝ている間に肘を強く曲げ続けてしまう

といった行動がきっかけで、しびれや違和感が出ることがあります。

また、野球の投球動作や柔道、体操、筋トレなどのスポーツ、同じ動作を繰り返す作業、ケガのあとで肘の形が変わった場合なども原因になります。さらに、骨のとげ(骨棘)やガングリオン、靱帯が厚くなるといった体の構造的な変化が関係することもあります。


2. 肘部管症候群の主な症状

① しびれ・感覚の低下

  • 小指と薬指の外側(尺側)に
    • ビリビリ
    • ジンジン
      としたしびれが出ます
  • 寒いとき夜間に悪化しやすいのが特徴です

② 痛み

  • 肘の内側にうずくような痛み
  • 前腕の内側へ広がる放散痛
  • 次の動作で強くなります
    • 肘を曲げる
    • 肘を机などにつく

③ 手先の使いにくさ(巧緻性低下)

  • ボタンを留めにくい
  • 箸やペンの操作がぎこちない
  • スマホの細かいタップがやりづらい

④ 筋力低下

  • 握力が弱くなる
  • 小指・薬指が開きにくい
    (指の細かい動きを担う筋肉の低下)
  • 進行すると
    • 親指の付け根(手のひら側)がやせる
    • くぼみが目立つ
      といった筋萎縮が起こります

⑤ 診察でみられる特徴的な所見

  • 肘の内側を軽く叩くと
    → 指先にしびれが響く(Tinel徴候)
  • 肘を曲げ続けるテストで
    → しびれが強くなる

⚠ 放置した場合の注意点

  • しびれが持続する
  • 筋肉の**やせ(筋萎縮)**が進む
  • 回復までに時間がかかるようになります

👉 早めの受診・リハビリなどの介入がとても重要です。


3. 原因とリスク因子

① 姿勢・生活習慣

  • スマホ操作や通話で肘を長時間曲げたままにする
  • 睡眠中に肘を深く曲げ続けてしまう
  • 肘を机の角に乗せる癖がある
  • 運転中に肘置きへ体重をかける

➡ 日常の何気ない姿勢が、神経を圧迫する原因になります。

② 反復動作・仕事による負担

  • 工具を使う作業
  • パソコンのマウス操作
  • 工場などのライン作業
  • 介助・移乗などの繰り返し動作

➡ 同じ動きを続けることで、肘への負担が蓄積します。

③ スポーツによる影響

  • 野球などの投球動作
  • 柔道・体操
  • クライミング

➡ 肘に引っ張り(牽引)や圧迫が繰り返しかかることで発症しやすくなります。

④ 体の構造(解剖学的)な要因

  • 外反肘(肘の角度の変化)
  • 過去の骨折や脱臼
  • 内側上顆の骨のとげ(骨棘)
  • Osborne靱帯の肥厚
  • 筋膜のバンド
  • ガングリオン

➡ 神経の通り道が狭くなり、圧迫が起こります。

⑤ 全身的な要因

  • 糖尿病
  • 甲状腺機能異常
  • 肥満
  • 喫煙

➡ 神経の回復力が低下し、症状が長引きやすくなります。

このように、生活習慣・仕事・スポーツ・体の構造・全身状態が複合的に関与するのが肘部管症候群の特徴です。
原因を把握し、早めに対策することが改善への近道になります。

4. セルフチェック

  • 肘を90°以上曲げて1分保つと小指・薬指がしびれる
  • 肘内側を軽く叩くと指先に響く(Tinel様)
  • 物をつまむ/つかむ/開く動作が不器用、握力が落ちた
  • 夜間、肘を曲げて寝るとしびれで目が覚める
    一つでも当てはまるなら、整形外科へご相談ください。

5. 診察・検査(何を確認する?)

① 問診・理学所見(診察で確認すること)

医師や理学療法士が、症状と体の反応を直接確認します。

  • しびれ・痛みの出方や経過
  • 肘を曲げたときに症状が強くなるか
  • しびれの範囲
    小指~薬指の小指側
  • 手の筋力
    • 骨間筋(指を開閉する筋肉)の力
    • 母指内転筋のやせ(萎縮)の有無
  • 肘の内側(肘部管)の押したときの痛み
  • 尺骨神経が
    • ずれる
    • 乗り上がる
      といった神経の不安定性がないか

② 画像検査

原因や神経の状態を詳しく調べます。

● X線(レントゲン)

  • 外反肘の有無
  • 骨のとげ(骨棘)
  • 昔の骨折や変形の影響

骨の形の評価が目的です。


● 超音波(エコー)

  • 尺骨神経の
    • 太さ
    • 動き(滑走)
  • ガングリオンや嚢胞の有無
  • 肘を曲げたときに
    → 神経が前方へずれるかを動的に観察可能

➡ 神経と周囲組織をリアルタイムで確認できます。


● MRI

  • 軟部組織の病変
  • 神経のむくみ(浮腫)
  • 原因がはっきりしない難治例の精査

➡ 詳細な構造評価に用いられます。


③ 神経伝導検査(NCS)・筋電図

神経の働きを数値で評価します。

  • 神経の伝わる速さの低下
  • 伝導の遅れ
  • 神経がどの程度傷んでいるか(軸索障害)
  • 重症度の判定
  • 手術前後の比較

にとても有用な検査です。

6. 治療(段階的アプローチ)

6-1 保存療法(まずここから)

目標:圧迫を減らし、神経の浮腫と摩擦を抑え、滑走を取り戻す。

① 活動・姿勢の調整

就寝時

  • 肘は伸ばし気味
  • ナイトスプリントやタオル巻きで曲がり過ぎを防止

デスク・日中

  • 机で肘をつかない
  • 前腕を広く支持、肘角は90~110°

スマホ・通話

  • 耳と肩で挟まない
  • 長電話はヘッドセットを使用

② 装具療法

  • 肘伸展位スプリント
  • 必要に応じて尺側手根屈筋の過緊張を抑制

③ 薬物療法

  • NSAIDsを短期使用
  • ビタミンB群の補充
  • 神経痛合併時は鎮痛補助薬を検討

④ 物理療法

  • 温熱・電気・超音波
    → 血流改善と疼痛緩和

⑤ 理学療法

神経滑走(ナーグライド)

  • 肩外転・外旋 → 肘伸展 → 前腕回外 → 手関節背屈 → 手指伸展
  • 痛みゼロ~軽微で10回×2–3set/日
    柔軟性
  • 尺側手根屈筋、円回内筋、上腕二頭筋
    姿勢・体幹
  • 胸椎伸展
  • 肩甲帯安定化(前鋸筋・下部僧帽筋)
  • 猫背矯正で遠位負担を軽減

⑥ 環境調整

リストレストで手関節の過背屈を防止

デスクは肘が浮かない高さ

キーボード時の肘角90–100°

保存療法で数週~数か月のうちにしびれ軽減・夜間覚醒減少が得られる例が多数。筋萎縮が目立つ場合は早期に外科評価も並行します。

6-2 注射療法

肘部管内は神経と血管が近接し、安易なステロイド注射は推奨されません。周辺の滑走障害に対するハイドロリリースなどは施設により選択されますが、適応と安全性を主治医とよく相談してください。

6-3 手術療法(適応と術式)

適応
– 明らかな筋萎縮/運動麻痺が進行
持続しびれが強く日常/仕事に支障
– NCSで高度伝導障害、保存療法3–6か月で改善乏しい


代表術式
1) 単純減圧術(Osborne靱帯切離、肘部管開放)
2) 尺骨神経前方移行術(皮下/筋内/骨間)…外反肘や神経脱臼例、広範囲圧迫で選択
3) 内側上顆形成術…骨棘等の形態異常を伴う例
予後:しびれは数週~数か月で改善傾向、進行例の筋萎縮の回復は限定的。術後も神経滑走・姿勢是正を継続すると成績が安定します。


7. リハビリテーション

  • 急性~亜急性期:炎症鎮静、肘屈曲の回避、神経滑走の痛みゼロ域で実施、短時間高頻度。
  • 回復期:前腕屈筋群の等尺→等張、握力は痛み0–2/10で段階的に。肩/体幹の協調(肩甲帯セット)で末梢負担を軽減。
  • 作業療法:キーボード・マウス・工具の把持位置/角度最適化、肘支持面の拡大、休憩サイクル(25–30分/5分)
  • ホームエクササイズ例(目安)
    1) 神経滑走:10回×2–3set/日
    2) 前腕ストレッチ(屈筋/伸筋):20–30秒×各3回
    3) 肩甲帯活性(壁プッシュ、Y/T/W)各10回
    しびれ増悪や鋭痛が出たら中止し再評価へ。

8. 予防と再発対策

  • 肘をつかない/強く曲げない習慣化、就寝時はタオル巻きで曲がり過ぎを防止。
  • デスク環境:肘・前腕を面で支える、椅子は肘掛けを活用、ディスプレイは目線やや下
  • モバイル:長時間の片手保持→スタンド/両手、通話はイヤホン
  • 体調禁煙、糖代謝の是正、冷え対策で神経血流を守る。
  • 運動:週3回、姿勢筋(体幹・殿筋)と肩甲帯のメンテをルーティン化。

9. よくある質問(Q&A)

しびれが一時的に消えます。放っておいても大丈夫?

反復する一過性のしびれでも神経はストレスを受け続けています。早期の姿勢/装具/リハで悪化を防ぐのが安全です。

手術は必ず必要ですか?

多くは保存療法で改善します。筋萎縮や高度伝導障害がある場合は手術を検討します

仕事や家事は続けられますか?

負荷の配分と道具・姿勢の最適化で継続可能なことが多いです。作業療法的な環境調整がカギです。


10. 受診の目安(所沢周辺)

  • 2~4週間の自己対策でもしびれ/痛みが持続
  • 夜間痛/睡眠障害握力低下、細かな作業に支障
  • 小指・薬指の持続しびれ筋萎縮が気になる
  • ガングリオンなどしこりを触れる/過去の外傷後に変形がある

医療機関情報(ご相談はこちら)

おやま整形外科クリニック所沢院
〒359-0037 埼玉県所沢市くすのき台1-12-10 第3西村ビル1階
TEL:04-2995-3863/FAX:04-2995-3860
診療時間:9:00-12:30 / 15:00-18:30(受付 8:45-12:00 / 14:45-18:00)
公式HP

所沢周辺で薬指・小指のしびれ肘内側の痛みにお困りの方へ。超音波での動的評価神経伝導検査の結果を踏まえ、ナイトスプリント神経滑走作業環境の最適化を組み合わせた個別リハをご提案します。必要時は専門医と連携した手術治療もご案内。どうぞお気軽にご相談ください。

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