舟状骨骨折とは?原因・症状・診断・治療・リハビリ・予防まで徹底解説【所沢】
舟状骨骨折(しゅうじょうこつこっせつ)を徹底解説【所沢】
要点
・転倒して手をつく(FOOSH)外傷で最も多い手根骨骨折。初期X線で写らないことがあり、放置すると偽関節や壊死(AVN)→SNAC手関節へ進行する恐れ。
・解剖学的スナッフボックス圧痛・舟状骨粗面圧痛・縦圧痛が手がかり。疑ったら早期固定(母指スパイカ)と再評価(X線追撮/MRI/CT)。
・治療は保存療法(ギプス)か手術(スクリュー固定/骨移植)。骨折部位と転位が選択のカギ。リハは腫脹管理→可動域→筋力→巧緻性で段階的に。
1. 舟状骨とは?
手首(手関節)は8つの手根骨が組み合わさって複雑に動きます。その中で舟状骨は橈側(親指側)に位置し、橈骨・月状骨・大菱形骨・小菱形骨などと広く関節面を持つ要(かなめ)の骨。
背側枝優位の逆行性血行という特徴があり、近位極に血流が届きにくいため、骨折後に骨癒合が遅れやすい/壊死しやすいというリスクがあります。


2. どうして折れる?
最も多いのは転倒時に手を前方へつく動作(FOOSH: Fall On Out-Stretched Hand)。他にも、サッカー・バスケ・スケボー・スノボ・体操・格闘技、日常の段差転倒、二輪転倒などで生じます。
手関節背屈+橈屈位で橈骨からの圧縮力が舟状骨へ集中し、腰部を中心に骨折。次いで近位極・遠位極骨折が続きます。ハンドルやバーを強く握った状態での高エネルギー外傷では粉砕・多発損傷を合併することも。

3. 症状(こんなサインに注意)
- 解剖学的スナッフボックス圧痛(親指を伸ばしたときにできるくぼみの奥)
- 舟状骨粗面圧痛(手のひら側、母指球近位の圧痛)
- 縦圧痛(親指の先端を軸方向に押すと手首深部が痛む)
- 手関節の腫脹/こわばり、背屈・橈屈での運動痛
- 初期X線が陰性でも数日~1週間で痛みが続く(要再評価)
「捻挫だと思って放置」が偽関節の代表シナリオ。痛みが続く/押すと深部が痛いなら、早めの専門受診が安全です。
4. 診断方法
1) X線(単純撮影)
– 正面・側面に加え舟状骨専用撮影(手関節尺屈位)や斜位を組み合わせます。
– 初診直後は骨折線が不明瞭なことがあり、10–14日後に再撮影すると線が明瞭化。

状態によっては見逃してしまうこともあるため、一度医師から問題なしと診断されても、後日再撮影すること大事だよ
2) MRI
– 早期から骨挫傷や骨折線を可視化。初期X線陰性だが臨床的に強く疑う場合に有用。
3) CT
– 骨折型・転位量・近位極の血行不良所見・癒合進行を立体的に把握。術前計画と偽関節評価に最適。
4) 理学所見のポイント
– スナッフボックス圧痛+縦圧痛+舟状骨粗面圧痛の3つの痛みがあれば、陽性を疑う。
疑うならまず固定(母指スパイカ)→画像精査へ、が合併症回避の鉄則です。
5. 分類と合併症(治りにくさの理由)
- 部位:遠位極<腰部(最多)<近位極。近位極ほど血行不良で癒合しづらい。
- 転位:1mm超の転位、角状変形(ハンプバック)、回旋転位は手術適応を検討。
- 合併症:
- 偽関節(痛み・握力低下・可動域制限)
- AVN(無腐性壊死)(とくに近位極骨折)
- SNAC手関節(Scaphoid Nonunion Advanced Collapse:偽関節を放置→手関節変形性関節症へ進行)
6. 治療方針(保存か手術かの見極め)
6-1 保存療法(ギプス固定)
適応:非転位/微小転位(≦1mm)の腰部・遠位極骨折、受傷早期。
方法:母指スパイカキャストで手関節を背屈軽度、母指を掌側外転位に固定。施設により肘下/肘上の選択あり。
期間:6–12週が目安(部位と年齢・喫煙の有無で変動)。CTで癒合確認しながら短縮/延長を判断。
長所:非侵襲、感染なし。
短所:固定期間が長く、拘縮/筋萎縮・復職/復帰の遅れが課題。近位極は癒合遅延のリスク。
6-2 手術療法(スクリュー固定 ± 骨移植)


【適応の目安】
– 転位>1mm、角状変形/回旋転位、近位極骨折、労働/競技上の早期復帰要求、保存で癒合停滞
【術式】
– ヘッドレス圧迫スクリュー(経皮/最小侵襲)で内固定
– 偽関節/近位極AVN:血管柄付き骨移植や海綿骨移植+スクリュー固定を組み合わせ
長所:早期機能回復、固定期間短縮、偽関節リスク低減。
短所:麻酔・感染・神経血管損傷・再手術リスク。
いずれの選択でも喫煙は癒合遅延の独立因子。禁煙している人は治療成績に直結します。
7. リハビリテーション
7-1 固定期(0–6/12週)
- 腫脹管理:RICE(冷却・挙上)
- 拘縮予防:肩・肘・第2–5指の自動運動で浮腫・硬縮予防。
- 疼痛コントロール:手関節・母指は固定遵守。患部外トレ(握力は不可)。手関節・母指は固定遵守。患部外トレ(握力は不可)。手関節・母指は固定遵守。患部外トレ(握力は不可)。冷罨法/必要に応じ鎮痛薬。
7-2 可動域回復期(固定除去後~4週)
- 手関節ROM:関節モビライゼーション(痛み最小で滑走重視)、屈伸・橈尺屈・回内外を痛み0–2/10の範囲で。
- 瘢痕/軟部組織:手浴+ROM、軟部組織のリラクセーション。クロスフリクション、前腕筋群ストレッチ。
- 固有受容覚:ボール転がし、円板回し等の関節位置覚トレ。
7-3 筋力回復期(+4~8週)
- 等尺→等張:前腕屈筋/伸筋、橈側・尺側手根筋を段階的に。
- 把持力:グリップトレーナー/クレイ/ハンドボール。
- 前腕回旋・上肢連鎖:ゴムバンドで肩~前腕の協調を再学習。
7-4 実戦復帰期(+8週~)
- 職業/競技特異的ドリル:工具操作、ラケットスイング、受け身練習。
- 復帰判定:疼痛なし、ROM左右差<10–15°、把持力85–90%、画像で癒合確認。
8. よくあるQ&A
Q. 初診のX線が“異常なし”でした。痛いままですが大丈夫?
A. 舟状骨は初期に写らないことがある骨折の代表。固定したまま1–2週間で再評価、または早期MRI/CTが推奨です。
Q. どのくらいでスポーツに復帰できますか?
A. 骨折型と治療法で大きく変わります。保存療法なら8–12週以降、手術例は6–10週程度が目安ですが、画像で癒合と機能指標を満たすことが条件です。
Q. 放置するとどうなりますか?
A. 偽関節→SNAC手関節へ進み、慢性痛・握力低下・関節症で生活の質が低下します。早期診断と固定が最重要です。
9. 予防(再発・対側予防も)
- 手首ガード/プロテクター:スケボー・スノボ・ローラースポーツ等で有効。
- 受け身の習得:前腕全体で衝撃を分散、手関節背屈の極端な角度を避ける。
- 前腕~肩の連鎖強化:体幹/肩甲帯の安定化で末梢負担を軽減。
- 環境整備:濡れ床・段差・自転車のブレーキ整備など転倒リスク管理。
- 禁煙:骨癒合と創治癒の観点から最重要。
10. 受診の目安(所沢エリア)
- 転倒後の手首痛が48–72時間以上続く
- スナッフボックス圧痛/縦圧痛が陽性
- 可動域制限・握力低下・腫脹が遷延
- 仕事/競技復帰のタイムラインを明確化したい
まとめ
舟状骨骨折は「捻挫と思って我慢」が最も危険。疑ったら固定→精査→適切な治療で、偽関節や関節症への移行を防げます。受傷機転・圧痛ポイント・画像の“落とし穴”を理解し、復帰までの道筋を医療者と共有することが最短回復への近道です。
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おやま整形外科クリニック所沢院
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公式HP
所沢での舟状骨骨折は、初期固定と適切な画像評価(MRI/CT)のタイミングが鍵です。当院では母指スパイカでの早期固定、癒合モニタリング、段階的リハビリ、必要に応じて専門医連携による手術治療までワンストップでご案内します。受傷直後は無理をせず、お気軽にご相談ください。
